廻猫デイリリィ:ゲームエンジンの乗り換えについて
【はじめに】
2026年も半分が終わりました。生存報告と近況報告でございます。
主に着手からすでにかなりの時間が経過している「廻猫デイリリィ」について、大きな転換点を迎えているのでその御報告です。
プレイされた方は御存じのとおり、廻猫デイリリィは「アクションゲームツクールMV」(以降、アクツクMV)で制作されております。アクツクMVは基本的にはノーコードで手軽にアクションゲームを作れるツールとして、2019年にリリースされたツールです。
当サークルでは2023年に導入し、すでに起動時間は1800時間を超えています(寝落ち時間を多大に含む)。
別に「これで簡単にゲームがツクれるんだ!」などという幻想は抱いていませんでしたが、できない、やれない、大変なことが想定以上に多いことがわかってきました。実際、反射動作などはスクリプトで実装していますし、ある程度のことならばそれでいいと考えていたのですが、今回のシナリオデモシーンの実装を経て、いよいよアクツクではどうしようもなくなってきた、という状況です。
【アクツクのダメポイント】
アクツクMVは、1.コンパクトで、2.演出や動作において複雑なことをせず、3.ステージクリア型のゲームを作るには、非常に優れたツールであることは間違いありません。ユーザーはノーコードでキャラクターの動きを実装し、タイルを配置するだけでステージを構成できます。じゃあ何がダメなのかというと……
①そもそもツールとしての操作感が全然ダメ
とにかくマウス操作を要求する点。
沢山作業があるときは、普通はキーボードだけで操作したいですよね?
リネームはF2で入って打ち込んだらTABで次の項目に飛びたいとか、アクションの内容や数値を書き換えた後でEnterで決定したいとか。
これができない。全部マウス操作で「OKボタンを押す」を要求してくる。つらい。
②ソロ開発が前提
オブジェクトやシーンのエクスポートに対応しているので、チーム制作時にはそれでデータのやりとりをすればいいと考えていました。
参照する素材のディレクトリとかがどう扱われるかわからなかったので、とりあえず全員が同じディレクトリ構成で作業すればいいだろう、と。
しかし現実には、エクスポートされたオブジェクトやシーンをインポートすると、素材もアニメーションもオブジェクトも、何もかもが別物として扱われることがわかりました。
実質的にひとつの端末で開発するしかありません。つらい。
➂ただ歩いているだけでコリジョン抜けする
アクションゲームと壁抜けは切っても切れない関係ですが、それにしてもひどい。
アクツクは古典的な正方形タイルだけでなく、坂という特殊なオブジェクトを使うことで、手軽に坂道を実装できます。
が、これがよく抜ける。
坂道をいくつかつないで地形を作ると、その頂点や谷間付近で普通に抜けます。つらい。
④動作が重い
開発機のGPUは敢えてGTX750tiという動作保証ギリギリでやっていましたが、それを差し引いても重いです。
40個程度のオブジェクトを配置しただけでFPSは低下し始めるし、重力変化等のギミックタイルを少し多く配置しただけで激重。
たとえば水中で重力軽減みたいなことをしようとしただけでFPS40とかになってしまう。つらい。
⑤環境に依存することが多い
今回のバージョンの開発で特に問題になったのが、環境によってまったく違う動作をする、という点です。
特にカメラ周り、移動周りは環境によって結果が異なることが多いようで、イベントシーンでのキャラクターの立ち位置に誤差があったり、ズームするはずのカメラがズームしなかったりということが頻発していました。
詳細はブラックボックスなのでわかりませんが、どうもフレーム駆動と時間駆動が混在しているように見えます。
FPSが低下したときはスローになるので、一見するとフレーム駆動のように見えますが、加速移動や速度倍率、内部の距離計算あたりに時間基準が混ざっている気がします。
つらい。
【断念】
使いにくいところを挙げればキリが無いのでまとめると、とにかくツールとしての利便性と自由度が致命的なので、ある程度以上の規模のゲームを作るにはまったく向いていないと言うことがわかりました。さらに、今後やりたいことの多くができないことがすでにわかっています。
・一定距離でループするマップ
・広めのマップやギミックの多数配置
・リッチな画像表現
これらは諦めればいいといえばそうなのですが、環境依存動作リスクも加わった時点で乗り換えがかなり有力になりました。
【乗り換えコスト>やりたいことができないデメリット】だったのが、
【乗り換えコスト<やりたいことができないデメリット+環境依存動作リスク+原因究明できないバグのリスク】になっている、というわけです。
【他エンジンの模索】
シカクゲームズとしての制作目標は、「今までにないもの」です。ここは変わりません。
それを踏まえて、本ゲームを完成させつつ、次につながるスキルを得られる、という視点で見るとエンジン選定はかなり絞られてきます。
・Unity
・GameMakerStudio
・GODOT
Unityは大昔に少し触ったことがありますが、3Dやモバイル展開をメインに据えていない以上、オーバースペック。
GMSは軽くて良さそうですが、独自言語なのと日本のコミュニティが小さく情報が少なそうなのがネック。
ということでC#も扱えて、エンジン自体がめちゃくちゃ軽量で、やろうと思えばビジュアルノベルも行けそうなGODOTにさわり始めたところです。
正直に申し上げて、エンジンが立ち上がる速度だけで感動しています。爆速。
資料を色々読んでいると、マルチウィンドウなんかにも対応しているので、ウィンドウを複数使う謎解きなんかも実装できそうで夢が膨らみます。ウディタの自作のベルシステムもやろうと思えばGODOTに移植できますし。
【最後に】
秘封パラスケープの制作も並行してやっておりますが、あちらはシステム上できることとできないことがすでにハッキリしており、出来ることの範囲内で謎解きや構成をブラッシュアップしていけば良い、という段階なので、それほどお待たせせずにリリースにこぎ着けられるはずです。
一方でGODOTはまだ習熟訓練中なので断言は出来ないのですが、アクツクMVに比して圧倒的に強力な機能が揃っているので、今しばらく温かい目で見守っていただければ幸いです。
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